【ビジネスの観察】ホンダ初代N-BOX。

2025年2月8日放送の「おぎやはぎの愛車遍歴」で、元ホンダの自動車エンジニアである浅木泰昭さんが出演されていました。
ボクはおぎやはぎの愛車遍歴ヘビー視聴者で、今乗っている車もこの番組をきっかけに買いましたし、次に買う車をいつも番組を参考に探しています。
今回のゲストは元ホンダの自動車エンジニアである浅木泰昭さん。
ホンダの車は自分では購入したことがないのですが、N-BOXの快進撃は「ビジネスの観察」的に気になっていたので、その裏側が知れてとても勉強になりました。
目次
F-1のエンジンテスト部門出身
浅木さんは入社2年目からF-1のエンジンテスト部門だそうで、ゴリゴリのエンジン開発のプロフェッショナル。
しかしリーマンショックの影響で車が売れなくなり、ホンダがF-1を撤退したあと、軽自動車の開発を命ぜられたそうです。
当時ホンダは軽自動車業界4位
当時ホンダは軽自動車の業界4位だったそうで、スズキ・ダイハツにはもちろん、スズキのOEMで軽を販売していた日産にも遅れをとっていたようです。
そんなホンダで売れる軽自動車をつくることは不可能命題だったそうです。
F-1と軽自動車の戦い方は近い
F-1から軽自動車への転身はすごい違いがあったと思いますが、浅木さんはF-1と軽自動車の戦い方は近いとおっしゃっていました。
どうガチガチのレギュレーションを掻い潜って作るか、という点で似ているそうです。
確かに。制約がある中でどう技術を見せていくのか、という方がエンジニアさんは燃えるかもしれないですよね。
軽自動車のレギュレーション
【ボディサイズ】全長3.4m以下・全幅1.48m以下・全高2.0m以下【排気量】エンジン排気量660cc以下【定員】最大4名【最大積載量】一般的に350kgまで
N-BOXの戦い方
浅木さんはエンジニアでありながら非常にビジネス目線をお持ちの方だと感じました。
「戦い方」という表現がすごく好きです。
まず調査したのは、「なぜ売れないか」
浅木さんがまず調査したのは、「なぜホンダの軽自動車は売れないのか」だそうです。
まさに現状分析ですよね。
ホンダはそもそもアメリカの男性を中心に車を作ってきた会社だそうで、軽自動車のメインターゲットである「日本の女性」という観点が抜け落ちていたのが軽自動車低迷の理由ということを突き止めました。
他社にはできない「エンジンの潰れ方にこだわった設計」
日本の女性目線に立った時、運転席と荷室をはじめ室内空間を広くすることが重要ということを考えました。
そこで考えたのが、「衝突した時にエンジンが消えてなくなること」だそうです。
衝突した際に、発電機やコンプレッサーが畳み込まれることを想像しながらエンジンを作ってくれとエンジン部門にお願いをして開発したそうです。他社にはできないことをF-1エンジン屋だったからこその発想で実現し、エンジンルームをコンパクトにすることで室内空間を広くしたそうです。
ドライバーが前に行ければ室内空間が広くなる。普通のドラポジで7cmもアクセルペダルを前に出したそうです。衝突ストロークが25cmくらいの中、7cm前に出せたことはすごいですよね。
運転席の膝まわりをスッキリ
また、女性は運転席のシートをかなり前にして運転する方が多く、膝がハンドル下部にぶつかるため、その膝まわりをスッキリさせて膝が当たらないように設計して心地よさを実現したそうです。
アメリカ男性目線では気がつかなかった視点のデザインです。
運転席の下に燃料タンクを配置
その他、ホンダの特許技術の「センタータンクレイアウト」で運転席の下に燃料タンクを配置することで後部座席の床を低く設計することを実現。
「自転車」と「子供」を一緒に連れて帰れるようにしたという、素晴らしいユーザー目線。
大都市以外の中高生の交通手段は自転車という生活利用面を考えて、子供を迎えに行った時に自転車も載せられるようにトランクを低くしたそうです。そうすることで自転車を女性でも乗せられるようにしたそうです。
+ヤンキーの研究
さらに「N-BOXカスタム」は、ヤンキーを意識したデザインで爆売れしたそうです。
「ヤンキーを研究」って面白いですね。でもビジネス的に非常に重要なことです。
ヤンキーの方々は自己主張のためにカスタムしたいと考える方が多いそうですが、カスタムにはすごいお金かかります。
生産ラインでそれをやってしまうことで、ヤンキーの皆様の心を掴んだそうです。
シートの座り心地を女性目線と男性目線で
シートの開発にもこだわったそうです。座り心地を良くしたいが、男性と女性では体格が異なるため同じようにフィットするように設計するのは難しいそうです。
女性はお尻が大きくて軽いから沈み込まない、男性はお尻が小さくて重いから沈み込むため、シートを二重構造にしてどちらにもフィットするようなシートを開発したそうです。
横滑り防止装置
軽自動車は横幅が小さく、背が高いとコケやすいため、横滑り防止装置VSA(トヨタでいうVSC)を全車適用にしたという技術的なカバーもしっかりされていてすごいですよね。軽自動車でもそこそこの価格になるのが頷けます。
トヨタのエンジニアさんも驚きのN-BOX
元トヨタ開発エンジニアの多田哲哉さんもが、たまたま何かの講演でN-BOXの開発者さん(おそらく浅木さん)のお話を聞いて、その熱意に驚いたそうです。
多田さんはすぐにディーラーに行って試乗したというほどの出来だったと、他社も認める素晴らしい軽自動車のようです。
10年連続軽自動車販売台数No.1
2015年から10年連続軽自動車販売台数No.1のN-BOX。
売れるべきして売れたんですね。まさにマーケティング・ミックスが素晴らしい。
ブランディングもしっかり実施
もちろんブランディング面も。
N-BOXのロゴをはじめブランディングは佐藤可士和さん。
「N」はホンダ初の軽乗用車「N360」からの着想したそうで、相当気合が入った戦略展開です。
業界4位から一番売れた軽自動車に
発売当初から想定以上に反応が良く、業界4位から一番売れた軽自動車になったという夢のある素晴らしいストーリー。
やはり理念・コンセプトが重要で、それをどういう技術で実現していくか。
それを実現して価格が見合えば大ヒット・逆転も見える。
乗ってみたくなってしまいました。
とても勉強になります。
