立地分析とは? jSTAT MAP で商圏の世帯数や車移動の到達圏を調査する方法

立地分析とは?立地調査jSTAT MAPの使い方

 

今回は、「立地分析」の方法について解説していきます。

 

小売店や飲食店・美容業・商業施設など、地域に密着するビジネスは出店しているエリア(立地)にどのような消費者がいるのかを把握することが、ビジネスの戦略を立案する上で非常に重要です。

 

商圏分析ともリンクさせて、自社の現状分析(環境分析)および新規出店計画などの戦略立案にも役立てることができます。

 

立地分析や商圏分析は様々な企業が有料サービス等で提供されていますが、今回は無料で使用できる政府統計ポータルサイト「e-Stat」の地図で見る統計機能「jSTAT MAP」を使用していきます。

筆者
佐治 秀保 / sajihideyasu

株式会社ビジネスのかんさつ 代表/オルタナクリエイツ 代表

広告写真家・クリエイティブディレクター
経営戦略 & WEBマーケティングコンサルタント(中小企業診断士)

プロフィール詳細

経営戦略立案への道

『経営戦略立案への道』シリーズでは、経営戦略立案のための知識やプロセスを解説しています。記事一覧はこちら

 

立地分析とは?

立地分析はその名のとおり、自社(自店舗)の立地がどのような特徴があるのかを調査し、分析していきます。

例えば以下の内容を調査します。

  • 自店舗からの徒歩・車で到達できる時間圏エリア
  • 自店舗の周辺エリアの人口・世帯数
  • 自店舗の周辺エリアの性別・年齢別の人数
  • 競合からの距離
  • 道路からの視認性

無料で使用できる「jSTAT MAP」

今回は無料で使用できる政府統計ポータルサイト「e-Stat」の地図で見る統計機能「jSTAT MAP」を使用して、主に統計データを調査・分析していきます。

立地分析とは?jSTAT MAP

– jSTAT MAP WEBサイト(https://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/)より

jSTAT MAPの機能と使い方

「jSTAT MAP」は、Webブラウザ上で誰でも使える地理情報システムです。都道府県、市区町村、小地域、地域メッシュ等系の結果を地図に表示することができます。

 

市場分析のための基本的分析が「地図に見える形」で可能となります。

jSTAT MAPの主な機能

jSTAT MAPは主に4つの機能があります。

  • プロット作成機能
  • エリア作成機能
  • 統計グラフ作成機能
  • レポート作成機能

ログインなしでも使える

jSTAT MAPはログイン(e-Statアカウントの作成)しなくても使用できます。

ただ、アカウント作成してログインすると利用できる機能が増えます。

 

【ログインすると利用できる機能】

  • データの保存
  • 地域分析レポート(リッチレポート)の利用

jSTAT MAPの使い方

WEBブラウザで、jSTAT MAPにアクセスします。

https://jstatmap.e-stat.go.jp/map.html

「ログインしないで始める」か「ログイン」かを選びます。

立地分析とは?jSTATMAPログイン

 

そうすると、早速MAPが出てきます。

4つの機能は上のメニューにある「統計地図作成」から全て利用できます。

マニュアルもあるので、操作が分からない場合は参照することができます。

立地分析とは?jSTATMAP画面

立地調査・分析の方法

それでは「jSTAT MAP」を使用して立地調査・分析をしていきましょう。

 

立地調査の順番としては、

①エリアを決める

②そのエリアの統計データを調べる

の順で見ていくと良いでしょう。

理由は、エリアを決めないとどこを調べれば良いか分からないためですね。

 

今回はサンプルとして、愛知県名古屋市の「藤が丘駅」付近に自店舗があると想定してjSTAT MAPで立地を調べていきましょう。

自店舗からの徒歩・車で到達できる時間圏エリア

それでは、どのエリアを調査するのかを設定します。

エリアの設定は企業さんの考え方にもよりますが、店舗だと徒歩時間や車移動時間でエリアを設定するのが想像しやすいのではないでしょうか。

 

▼jSTAT MAPエリア作成

jSTATMAP画面_エリア作成

上部のメニューから、「統計地図作成」→「エリア作成」を選択します。

 

jSTATMAP画面_エリア作成

すると、エリア作成の入力画面が出てきますので、グループ名と地図にエリアを表示する色を設定します。

 

jSTATMAP画面_エリア作成

次に、エリアの作成方法を選びます。

多角形や円などが選べますが、上から4つ目の「到達圏」を選択すると、地図上で指定したポイントから徒歩・車で到達できる時間圏エリアを設定することができます。

 

jSTATMAP画面_エリア作成

エリア名(エリアグループの中にいくつかエリア名を作成できます)を入れて、種類を「車」にし、時速と時間の数値を入力します。

そして自店舗の場所(もしくは新店出店候補地)を地図上でクリックします。

jSTATMAP画面_エリア作成

すると、設定した内容で地図に枠線が付きます。

jSTATMAP画面_エリア作成

これが今回設定した、指定した地点から車(時速30km)で10分のエリアです。

地図上で、どのエリアが自社のビジネスの対象エリアなのかを見える化できるため、非常に分かりやすいですよね。

あのあたりまでで10分圏内か…と新たな発見があると思います。

これでエリアを設定しました。

自店舗の周辺エリアの人口・世帯数

では、その設定したエリアの人口・世帯数を見ていきましょう。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

上部のメニューから「統計地図作成」→「統計グラフ作成」を選択します。

 

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

「統計グラフ作成」の画面が出ますので、調査したい統計データを選択します。

人口や世帯数は「国勢調査」がいいですね。例えばBtoBのビジネスをしていて、そのエリアにある業種ごとの事業所数を調べたい場合などですと「経済センサス」が良いでしょう。

 

今回は集計単位を(町丁・字等)の「小地域」に設定しました。

人口総数や世帯総数など調べたい指標を選び、次へと進んでいきます。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

少し処理に時間がかる場合がありますが、グラフ集計が完了します。

 

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

すると、地図上に町丁・字ごとに色分けがされます。

凡例を見ると分かりますが、上図の場合だと「人口総数」の数別に色分けがされています。どのエリアに人口が多いのかが見える化しますね。

これを参考に、チラシを配布するエリアを設定するのも良いと思います。

 

もっと細かく凡例の区分けをしたい場合は、「ランク数」を変更することで細かくすることができます。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

先ほどよりも凡例が細かくなり、地図もカラフルになりましたね。

 

さらに「どのエリアが特に多いのか?」を知りたいのであれば、「グラフ抽出」をすると絞ることができます。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

試しに、世帯総数のトップ10に絞ってみましょう。

 

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

地図上でトップ10だけに絞られました。分かりやすいですよね。

 

さらに、具体的にその町丁にどれくらいの世帯数がいるかどうかのデータも見ることができます。

右下に「データパネル」というボタンがありますので押すと、下から数値の一覧が出てきます。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

データはエクスポートすることもできます。csvファイルで出力できますので、Excelなどで活用することもできます。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_世帯数・人口

自店舗の周辺エリアの年齢別・性別人口

年齢別・性別で調査したい場合は、統計データ作成の「統計表」で年齢別・男女別人口を選択してみましょう。

様々な年齢別の人口統計データを調査することができます。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_性別年代別人口

試しに男性40代のトップ10を表示してみると下図のような結果となりました。

jSTATMAP画面_立地商圏分析_統計グラフ作成_性別年代別人口

年齢別・性別に関係するビジネスを展開されている場合は、非常に参考になると思います。

レポートでの出力も可能

jSTAT MAPはレポート作成機能もあります。

社内で打ち合わせや報告をしたい場合に、資料としてアウトプットできるのでとても便利です。

上部のメニューから「統計地図作成」→「レポート作成」を選択します。

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

レポート作成は2種類から選べます。シンプルレポートはログインしなくても使用できますが、リッチレポートはログインが必要です。

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

今回はリッチレポートで出力していきたいと思います。

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

エリアをここで指定しても良いですし、先ほど作成したエリアから選択することも可能です。

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

「リッチレポートを作成する」を押すと、処理が始まります。少し時間かかりますが待ちます。

 

 

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

処理が終了したらダウンロードボタンを押しましょう。

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

するとExcelデータでダウンロードできます。

人口別のグラフなどもカラー分けされていますので、社内資料ですぐに使えますね。

 

例えば以下のような表で出力されます。

↓年齢別人口(例)

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

 

↓世帯人員別人口(例)

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

 

↓産業別事業所数(例)

jSTATMAP画面立地商圏分析_レポート作成

 

非常に便利ですね。

このようにネット環境とWebブラウザがあれば誰でも無料で作成できますのでぜひ活用してみてください。

立地分析をすると、戦略のヒントが見つかる

その土地の人口や世帯情報を地図上で見ると、「どの層がどこにどれくらいいるか?」などを把握することができます。

それが、今後の経営戦略立案のための「ヒントになる」でしょう。

立地分析をするタイミング

まだ自店舗の立地分析をしていないのであれば、すぐにでも実施してみることがオススメです。新店や移転を検討するタイミングでは必ず実施しましょう。

 

また、人口は動きがありますので、国勢調査経済センサスが更新されるタイミングで実施すると良いでしょう。

自社で立地分析が難しい場合は

自社で立地分析が難しい場合は、弊社が中小企業診断士の目線で「経営診断」をしていますのでご相談ください。

また、社内人材に経営戦略立案プロセスを学んでいただく中長期戦略立案の「伴走型研修プログラム」もございますのでお気軽にお問い合わせください。

オンライン動画講座で学ぶ

オンライン動画講座『ビジかんアカデミア』でも、戦略について体系的に学べますのでぜひご活用ください。

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『立地分析とは? jSTAT MAP で商圏の世帯数や車移動の到達圏を調査する方法』


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