ビジネスのかんさつ日記
– chiica Webサイトより
ここ数年でよく聞くようになった地域通貨。
静岡県の西伊豆町も2020年より電子の地域通貨を導入し、良い仕組みを構築しているようで興味を惹かれ、勝手ながら観察させていただきました。
目次
地域通貨とは、その名の通り「特定の地域の中で使えるローカルな通貨」のことです。日本では2000年代の初め頃から流行り始め、ボクの地元の名古屋でも「なーも」や「おむすび通貨」などこれまで様々な地域通貨がありました。
もちろんその頃はチケットなどの紙で、アナログなものでした。
ちなみに海外では地域通貨はかなり古くからあり、地元で循環するお金で生活をしている地域も多くあります。日本でも海外の流れを汲んで導入をしたという地域もあります。
地域によって地域通貨の導入目的は様々ですが、主には、特定の地域通貨を用いることで地域にお金を落としていただき地域を活性化させたいというのが主な狙いです。
ただし、ただ通貨を作るというだけでは誰も使ってくれません。
地域通貨もマーケティングと同じく「仕組み」が重要で、どう認知させて、どう使えるか、そして地域をどう活性化させていくのかという戦略が重要になります。
西伊豆町の地域通貨は「サンセットコイン」と言うそうです。
町の夕日が綺麗だから「サンセットコイン」。そして通貨の単位は「ユーヒ」。
1ユーヒ=1円。
夕日のキレイさが町の特徴なんですね。ネーミングで「夕日がキレイ」という強みが一つブランド化されていて、とても良い名前です。
サンセットコインは電子化され、アプリで使用することが可能です。昔のようにチケットなどではないですね。コロナ禍もあり、非接触で使用できるキャッシュレスの電子通貨は、感染対策も含め運用面でもメリットがあります。
運用方法はカード型とアプリ型の2種類があり、利用者が選べるようになっています。
QRコード読み取り方式の電子通貨で、アプリかカードに表示されるQRコードを店舗の端末で読み取って使用します。
株式会社トラストバンクさんのchiicaというサービスを使用して構築されていらっしゃるようです。
新型コロナウイルス感染症による社会への影響が出た後の令和2年5月18日に、住民全員に10,000ユーヒを配布されました。10,000円分自治体からもらえたら使ってみようかなとなりますよね。ちょうど良いインパクトだったと思います。
また、マイナポイント事業とも連携して、国のポイント上乗せ分(最大5,000円)もユーヒとして受け取れたそうです。
住民へ広める一方、サンセットコインを使える取扱店も増やす必要があります。せっかく10,000ユーヒをもらっても、使うところがなかったら意味がないですもんね。
ちなみに町内に配られたユーヒの予算総額は7,700万円。付与されるマイナポイントの最大額は1億9,000万円分。そういったことも町が町内の事業者さんにPRしていました。
また、電子通貨を使えるようにするために、決済に使う端末は町から支給があったそうです。
取扱店の普及は大変なことですが、面倒・手間がかかることなどを排除し、経済効果の訴求もすることで取扱できる店を増やし、それがサンセットコインの価値を高めていったと考えられます。
通常、地域通貨はその地元の方が地域の中で循環させるイメージですが、西伊豆町では「地域外の人にも使ってもらう」仕組みもつくられています。
西伊豆町は「海釣り」が人気で、地域外の方の利用も多いそうです。
NHKの「おはよう日本」で紹介されていたのですが、面白いのが、その海釣りで「釣った魚をサンセットコインで買い取る仕組み」をつくられたそうです。アプリを利用して魚の価格を「ユーヒ」で受け取ることができ、その「ユーヒ」を町内で使っていただくという仕組みです。
これは素晴らしい仕組みですよね。釣った魚も、全部持ち帰って食べることも難しい時もあると思いますので、その場で買い取ってくれて地元のお土産や飲食店・温泉などで地域にお金を落としていってもらう。利用者にとっても地域にとってもWin-Winだと思います。
コロナ禍で地域も大きな打撃を受けていると思いますが、様々な仕組みを構築することで地域活性のきっかけになると思います。今回は地域通貨などの手段を使用した仕組みづくりでした。
地域通貨には期間限定のものもありますが、継続できる仕組みづくりも大切ですよね。
仕組みをつくる。マーケティング戦略を練る力が、地域通貨の広がり・地域活性化に必要な力となっています。
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