前回は、外部環境分析についてお話しいたしました。
今回はビジネスで経営戦略を立案するために必要な「現状分析(環境分析)」のうち、内部環境分析について概要およびその目的、よく使用されるフレームワークついて解説します。
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目次
内部環境分析は、外部環境とは異なり、自社内の経営資源(リソース)について分析をしていきます。
「現状分析(環境分析)とは?」の記事で、「孫子」の有名な格言「彼を知り己を知れば百戦殆からず」について書きましたが、内部環境分析は「己を知る」にあたります。
「彼(外部)」のみならず、「己(内部)」がどのような状況であるのかを正確に把握することは経営戦略立案において非常に重要です。
リソースとは、ヒトモノカネ情報、そして時間や知的財産など、いわば会社の財産です。
自社がどのような財産を持ち、どのような状態であるかを分析していきます。
↓リソースについてはこちらの記事もご覧ください。
内部環境分析の目的は、競合他社と比較した自社の「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」を把握することです。
『競合他社と比較する』ことがポイントで、自社だけを見て強い・弱いを決めるのではなく、競合と比べてどうか?の軸で強い・弱いを把握していきます。
強み・弱みを把握(見える化)した上で、今後の経営戦略の立案に役立てていきます。
見える化することにより、強みはより活かし、弱みを補う戦略を立てることが可能となります。
内部環境分析では主に以下の調査をし、経営資源を確認していきます。
ちょっと調査項目が多く感じるかもしれませんが、企業経営は多くの要因から成り立っているため、様々な角度から調査をしていきます。
健康診断や人間ドックにしても、様々な検査をすることと同じです。
上記以外にも様々な調査をすることもあります。製造業か流通業かなど業種によっても調査すべき内容は異なりますが、自社の状況にあった調査を選択して実施していきます。
これら内部環境を調査することで、外部環境分析で調査した競合に比べ、自社はどのような状態なのか?を定性的・定量的に分析します。
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ただし、財務分析や従業員満足度調査(モラールサーベイ)などは競合との比較はできませんので、「業界平均値」や「自社の過去の実績」と比較することで分析をしていきます。
外部環境分析の記事でも書きましたが、調査・分析をする手法として、「フレームワーク」がよく使用されます。フレームワークとは「枠組み」という意味で、このような内容の分析をしたい場合はこのような着眼(切り口)で調査・分析すると良いですよ、という便利なツールです。
また、フレームワークは「洩れなく・ダブりなく」とMECE(ミーシー:Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)となっていることが多いため、調査洩れが生じることも防ぐことができます。
内部環境分析でよく使用されるフレームワークは、「VRIO分析」「バリューチェーン分析」です。
VRIO(ブリオ)分析は、企業内部に存在する「経営資源」の強みや競争優位性を明確にするためのフレームワークです。
「経済価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織(Organization)」の4つの切り口で経営資源を評価していきます。
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バリューチェーン分析は、価値連鎖ともいいます。
ビジネスは様々な活動から成り立っています。そのどの部分から競争優位に結びつく価値が生み出されているか、どの部分に強み・弱みがあるのかを分析するためのフレームワークです。
その他、フレームワークではありませんが、従業員満足度調査や店舗観察調査にはそれぞれ手法があり、それを自社の実態に合わせて活用して調査・分析していきます。
今回はざっくりと内部環境分析の目的や概要、調査内容、よく使用されるフレームワークの紹介をしました。
経営者さんであっても意外と自社が「どのような状態なのか?」を正確に把握している企業は多くありません。
これは、ビジネスが様々な活動から成り立っていることと、社内の人間関係もあるためです。
ただ戦略立案のために「己を知る」ことは必要不可欠ですので、戦略策定の際に少なくとも1年に1度は内部環境分析をして戦略立案に備えるのが理想です。
内部環境分析の方法は「コンサルタントなどの外部に依頼する」「自社内の人材で調査・分析する」のどちらかになります。
調査は多岐に渡り、また、販売分析や財務分析などは専門的な知識やスキルが必要であり、従業員満足度調査などナイーブなものありますので、中小企業診断士などの外部のコンサルタントに依頼するのが一般的です。
外部の視点で様々な調査を客観的に見てもらえるのが、外部のコンサルタントに依頼することのメリットです。
大手や中堅企業であれば、社内に「経営企画部」などの部署も存在すると思います。そういった部署で内部環境分析を実施することもありますが、意外と分析の知識や手法・ノウハウがない場合もあります。
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