ビジネスで経営戦略を立案するために必要な「現状分析(環境分析)」には、①外部環境分析と②内部環境分析があります。
ここでは①外部環境分析の概要およびその目的、よく使用されるフレームワークついて解説します。
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目次
外部環境分析はその名のとおり、自社のビジネスを取り巻く「外部環境から影響されている要因」を調査し、分析していきます。
社内で起きていることや社内で保有しているリソースではなく、社外で起きていることについて調べていきます。例えば経済成長率や景気動向などの経済的環境や、人口規模などの人口動態的環境、政治や法整備などの環境などの「マクロ的環境」の側面や、顧客のニーズや競合他社の動向といった「ミクロ的環境」の側面で調べていきます。
何となく新聞記事やニュース・業界の噂などで様々な情報をインプットする、だけではなく、自社にとって影響しそうな外部環境を調査・分析していきます。
また、顧客ニーズを把握するために、既存顧客にアンケートを実施する「顧客ニーズ調査」も外部環境分析のひとつです。
外部環境分析の目的は、現状の自社を取り巻く外部の環境を正確に把握することで、将来の経営ビジョン達成に向けて「機会(Opportunity)」となる要因および「脅威(Threat)」となる要因(特徴)を洗い出し、今後の経営戦略立案に役立てることです。
戦略では、「脅威」となる要因の影響を最小限にとどめて、「機会」を捉えてビジネスを構築していくことを考えますので、これらの要因を把握することは非常に重要です。
外部環境分析には大きく「マクロ環境分析」と「ミクロ環境分析」の2種類があります。
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マクロとは、巨視的(大きな視点)という意味です。
経営学でいう「マクロ環境」とは、経済成長率や景気動向などの経済的環境や、人口規模などの人口動態的環境、政治や法整備などの環境など大きな視点での環境であり、自社では直接コントロールできない環境のことを示します。
一方ミクロとは、極小・非常に小さいという意味があります。
経営学でいう「ミクロ環境」とは、顧客ニーズや競合他社の動向といった、自社が直接影響を与えることもできる環境のことを言います。
「顧客ニーズや他社のことを自社が影響を与えることなんてできないのでは?」と思われるかもしれませんが、例えば他社が店舗を出しているエリアに自社が新しく出店したならば、そのエリアの顧客の動きや他社の動きにも影響を与えることができます。政治や法律などのマクロ環境は直接影響を与えるとはいきませんよね。(もちろん例外的にマクロ環境に影響を与えるような活動をする企業はあるかもしれませんが)
では、実際に外部環境分析ではどのような調査をして分析をするのでしょうか?
これは業界や業種、そしてその企業の状況にもよりますが、主に以下のような調査をします。
「マクロ環境調査」以外は「ミクロ環境調査」です。
これらを調査し、自社にとってどうなのか?を定性的・定量的に分析していきます。
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前述の通り、外部環境分析はさまざまな着眼で調査・分析していきます。調査・分析をする手法として、「フレームワーク」がよく使用されます。フレームワークとは「枠組み」という意味で、このような内容の分析をしたい場合はこのような着眼(切り口)で調査・分析すると良いですよ、という便利なツールです。
また、フレームワークは「洩れなく・ダブりなく」とMECE(ミーシー:Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)となっていることが多いため、調査洩れが生じることも防ぐことができます。
フィリップ・コトラー氏やマイケル・ポーター氏など、さまざまな経営学者さんが企業経営を研究し、多くのフレームワークを開発してきました。
健康診断に例えるのであれば、血液検査をすればこのようなことが分かる、胃カメラをするとこのようなことが分かるなど、さまざまな検査に使用するツールがあると思います。
企業診断も同じで、我々中小企業診断士も分析をするためのフレームワークを活用して企業診断します。
マクロ環境分析では「PEST(ペスト)分析」というフレームワークが使用されます。
PESTとは、「Politics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)」の頭文字を取ったものです。
マクロ的にこの4つの着眼で調査しましょうというフレームワークです。
正確にいうとMECEであるとは言えませんが、大きく、このような世の中の流れがあって、自社に影響してきそうですよね、ということを把握するために整理・分析していきます。
ミクロ環境分析では、「5フォース分析」がよく使用されます。
5フォース分析とは、「①競合他社の敵対関係」「②新規参入の脅威」「③代替品の脅威」「④売り手の交渉力」「⑤買い手の交渉力」の5つの着眼で、自社に影響を与えるフォース(力)を調査・分析していきます。
少し表現が分かりづらいかもしれませんが、具体的には、業界の動向・消費者の動向・立地・商圏・競合・顧客ニーズなどを調査・分析していきます。
前述の「業界動向調査」「消費者動向調査」「立地・商圏調査」「競合調査」「顧客アンケート調査」「街頭アンケート調査」などをすることにより、これら自社における5フォースの影響を調べていきます。
マクロよりはもっと自社ビジネスに身近なものであり、直接影響してくる要因です。それぞれの分析方法についてはここでは書ききれませんので、別の記事にてそれぞれ解説していきます。
今回はざっくりと外部環境分析の目的や概要、よく使用されるフレームワークの紹介をしました。外部環境分析では自社の外部の環境から影響される要因を調査・分析していきます。
「現状分析(環境分析)とは?」の記事で、「孫子」の有名な格言「彼を知り己を知れば百戦殆からず」について記載しましたが、外部環境は「彼」にあたります。「彼」がどのような状況であるのかを正確に把握することは経営戦略立案において非常に重要になります。
難しいのは、外部環境は常に変化するということです。
人口減少のような長期的な要因もありますし、リーマンショックや震災・新型コロナウイルスや法改正などのマクロ環境もそうですが、消費者動向や顧客ニーズ・競合の戦略も常に変化します。
最低でも1年に1回は外部環境を分析し、「今、自社を取り巻く外部環境はどんな状態なのか?」を把握してビジネスを進めていくようにしましょう。
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