ビジネスにおいて消費者の動き(消費者動向)を知ることは、今後の経営戦略立案に向けて非常に重要な要素となります。
消費者とは、代金を支払って商品やサービスを購入する(消費する)人のことです。ここでの「消費者動向分析」とは、ミクロ環境分析のひとつで、自社のビジネスにおける商材等について消費者はどのようなニーズがあるか、どれくらい年間で支出しているのか?等を調査し、その動きを分析していきます。
今回は、消費者動向の調査方法や分析について解説していきます。
目次
消費者動向分析とは、自社のビジネスにおける商材等について消費者はどのようなニーズがあるか、どれくらい年間で支出しているのか、どのような理由で商品選びや購入場所の選択をしているか?等のデータを調査し、自社にどう影響するのかを分析することです。
例えば以下について調査をし、消費者の動向を把握していきます。
消費者動向を調査するための情報源は、以下のようなものがあります。
消費者動向はまず、公的機関や研究機関の統計データを調べましょう。
自社で「顧客アンケート」等で直接調査を実施することもできますが、ここでは広い視野で見るために他社のデータを活用していきます。公的機関や研究機関もしくは信頼できる企業のリサーチデータを調べていきます。
ちなみに、自社で調査したデータを「1次データ」といい、他社が調査したデータを「2次データ」といいます。
例えば、「パン屋」を営んでいるとします。
皆さんは、おおよそ1世帯が1年間あたり、何円くらいパンを購入しているか想像できますでしょうか?
総務省が提供しているe-Stat(https://www.e-stat.go.jp/)を利用すると、1世帯当たり年間の品目別支出金額や購入数量・平均価格などを見ることができます。
さまざまな切り口で調査することができ、例えば「全国平均の年間支出額」「都道府県庁所在地別の年間支出額」「過去数年間の年間支出額の推移」などを確認することができます。
– e-Statより
例えば2021年(令和3年)の「パン」の年間支出額は、全国平均で31,353円で、そのうち「食パン」が10,251円、「その他パン」が21,102円でした。
都道府県庁所在地別を見ると、京都市が40,429円で全国1位ということも分かります。
– e-Stat 家計調査(Excelダウンロード)より
また、経年で見ると、2000年(平成12年)時点では全国平均支出額が27,512円でしたので、この20年余りで約4,000円(約14%)アップしていることも分かります。
ただし2019年(令和元年)は32,164円でしたので、直近では若干下がっていることも分かります。
次に、年齢別・性別の商品に対する好意度や興味の有無などを調査します。
株式会社日本能率協会総合研究所の「パンに関する実態調査2020」という調査が記事になっていましたのでその一部を参考とさせていただきました。
引用元:https://www.atpress.ne.jp/news/234050
▼Q. あなたは、パンが好きですか。(単一回答)
– 株式会社日本能率協会総合研究所「パンに関する実態調査2020」 より
約9割が「パン」が好き。女性の方が男性よりもパンを好む傾向。
全体で約9割が「パン」が好きと回答。パンが「非常に好き」の回答率でみると、女性は3割、男性は1割半程度と、女性の方が男性よりも好意度が高い傾向。その中でも、女性60代は3割半が「非常に好き」と回答しており全性年代内で最も高い。一方で男性15~19歳は、パンへの好意度が他年代と比較すると低く、好き計(「非常に好き」+「好き」+「どちらかというと好き」)は7割を下回っている。
https://www.atpress.ne.jp/news/234050
年齢別・性別にパンの嗜好には差があるようです。なんとなく「差はあるよね」という印象だけでなく、アンケート結果で出た数値は事実データとして参考になりますね。
また、年齢別・性別の好きなパンのランキングの調査もされていました。
▼Q. あなたが好きなパンをお選びください。(複数回答)
男性はボリュームのあるパン、女性は食感を楽しめるパンを好む傾向
「好きなパン」を男女別でみると、男性は「カツサンド」「ホットドッグ」などボリュームのあるパンが上位に、女性は「アップルパイ」「バゲット・フランスパン」など食感を楽しめるパンが上位に上がってきた。
https://www.atpress.ne.jp/news/234050
男性と女性で好きなパンは異なるようです。「なるほど!」と思えるような結果でも、具体的にどの種類のパンが好まれているかが割合として出るのは非常に参考になります。
– 株式会社日本能率協会総合研究所「パンに関する実態調査2020」 より
年代別でみると、男女ともに70代は「レーズン食パン」「レーズンロール」といずれも「レーズン」が含まれたパンが10位以内に上がっている。
https://www.atpress.ne.jp/news/234050
これは興味深い調査結果ですね。70代以上は男女ともに「レーズン」が入ったパンを好まれるようです。私はそのような傾向があることは知りませんでした。
このように嗜好は年代別・性別、または地域別やライフステージなどによっても異なることがあるため、そのような調査を見ることは戦略を練る上で非常に参考になります。もちろん情報源はとても大切ですので、信頼ある情報元かどうかも調べましょう。
調査をしたら、分析をします。
調査は主に定量的な事実データではありますが、その数値を眺めるだけでなく、「そこから何が言えるのか?」まで考えることが分析です。
自社との比較をするのも分析として良いでしょう。自社の販売ラインナップの人気順位・販売構成と、2次データのランキングを照らし合わせて自社のビジネスを分析してみることにより、そのデータがもっと深い意味を持つようになります。
例えば、
・年間支出額は上昇(or 下降)の傾向で推移しているので、市場は今後拡大(or縮小)していく
・年代別に見ると高齢者(or若年者)に〇〇を好む傾向があり、自社の商品ラインナップがニーズに合っていない可能性がある
・食パンとその他のパンの支出金額割合が変わってきているので、〇〇のような用途・嗜好に変化してきている
など、消費者の動きから今後の「機会(Opportunity)」となる要因および「脅威(Threat)」となる要因(特徴)を洗い出していきます。
統計データなどの数値データで消費者動向の内容や推移を見ていくと、顧客ニーズの視点でビジネスを観察することができます。
自社のビジネスの業界の消費者が、どのくらい年間支出をしていて、どのエリアに人気があって、どのようなものを好むのかということを把握することにより、トレンドを知ることができます。今後どのような動きになっていくのか?という予測(分析)も立てられるようになるため、今後の経営戦略立案のための「ひらめき」が起きることもあります。
もちろん世の中は絶えず流れていますので、年に1度は消費者動向調査をした方が良いでしょう。家計調査年報なども年次だけでなく月次でも調査されています。
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