外部環境分析とは?の記事で、ビジネスで経営戦略を立案するために必要な「現状分析(環境分析)」には、外部環境分析と内部環境分析があり、外部環境分析にも①マクロ環境分析と②ミクロ環境分析があるとお伝えしました。
今回は①マクロ環境分析によく使用されるフレームワーク「PEST分析」について解説します。
↓弊社ではPEST分析をはじめ経営戦略立案方法がプロセス(流れ)に沿って学べるオンライン動画研修(ビジかんアカデミア)もご用意しています。個人のスキルアップや社内のリスキリング研修にご活用ください。
目次
「マクロ(Macro)」は辞書によると、『巨大であること』『巨視的であること』という意味があります。反対に「ミクロ(Micro)」とは、『ごく小さい』『微小』という意味です。
経営用語では、外部環境の中でもマクロ環境は自社では直接コントロールできないくらい大きな環境で、ミクロ環境は直接影響を与えられる自社に近い外部環境のことを指します。
▼マクロ環境とミクロ環境のイメージ図
オンライン動画研修「事業計画書作成のための経営戦略立案プロセス研修」(ビジかんアカデミアより)
ひとことで言うと、世の中の変化やトレンドです。
例えば円安や物価高、少子高齢化などもそうですし、新型コロナウィルス感染拡大もそうです。時短ビジネスやシェアリングビジネスの流行やSNS社会もそうでしょう。
「自社が直接コントロールできないくらい大きい環境」というと関係ないようにも思えますが、自社ビジネスにしっかり影響してくる要素も多くあります。
マクロ環境分析といえば「PEST分析」というくらい有名なフレームワークで、「自社を取り巻く大きな環境変化としてはこういうことがあるよね」ということを現在・未来について調査をします。
PEST分析の目的は、マクロ環境(世の中の変化やトレンド)が現在・将来において自社にどのような影響があるか?を把握することです。そして、経営戦略立案において、「機会(Opportunity)」となる要因および「脅威(Threat)」となる要因(特徴)を洗い出し、今後の経営戦略立案に役立てることです。
PEST分析は、アメリカの経営学者でノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授のフィリップ・コトラー氏(Philip Kotler )が提唱しました。コトラー氏はその他にSTP理論や競争地位別戦略なども提唱しています。
著書の中で「調査しないで市場参入しようとするのは、目が見えない状態で参入しようとするようなもの」とおっしゃっていますが、まさにその通りだと感じています。現状分析で「見える化」して戦略を練っていきましょう。
PESTは、以下の4つの英単語の頭文字をとってPESTと呼ばれています。
上記の4つの視点において、自社ビジネスに影響していきそうな要因を調査していきます。
オンライン動画研修「事業計画書作成のための経営戦略立案プロセス研修」(ビジかんアカデミアより)
それではひとつずつ見ていきましょう。
まず、政治的要因を探りましょう。
政治的要因とは、「法律・規制・政治動向」などです。
例えばみなさんが飲食店を経営されているとしましょう。そうすると、「消費増税」「食品衛生法」「風営法」「労働基準法」「改正健康増進法」などの制定や改訂があるとビジネスに影響が生じてきます。
具体的には、例として2020年4月に「改正健康増進法」が全面施行されましたが、その対応として受動喫煙の防止を図るために施設を分煙もしくは禁煙にしたという企業さんもあると思います。
このように、法律等で決まったことによりビジネスの体系が変わり、その分の費用が増えたり客層が変わったりしてしまう影響も考えられます。もちろんそれはマイナスの要因だけでなく、企業によってはプラスの追い風になることもあります。
次に、経済的要因です。経済的要因とは、「景気状況・所得・労働者・為替・金利」などの変化による影響です。
例えばみなさんが製造業だとしましょう。製造している商材の「市場の規模」「成長性」「所得による価値観」や、「労働者賃金」などが影響してくるでしょう。
市場規模や成長性に応じて生産量は大きく変化するでしょう。また、以前は人件費削減の目的で中国に工場を設立していた企業も、人件費高騰を受けて中国よりも発展途上的な東南アジアへと製造拠点を移行するなど、経済的要因による企業への影響で大きい要因を洗い出します。
次に、社会的要因です。社会的要因は、「人口推移・文化・トレンド」などです。
例えば美容系のサービス業だとすると、「社会の人口構造」「流行」「ライフスタイルの変化」、流行の「素材」「機能」 などに影響を受けますよね。
最後に技術的要因です。技術的要因は、「IT・デジタル・生産技術・特許権の動向」などの変化です。
例えばメーカーだとすると、デジタル化・クラウド化・生産効率の高い機械などが市場に投入されるとビジネスに大きな影響が与えられます。
2000年代の話ですが、コダック(アメリカのフィルムメーカー)がフィルムの巨人とも呼ばれ、世界的な大手企業でしたが、カメラのデジタル化に乗り遅れて2000年代に急激にフィルムの市場が少なくなり2012年に破綻するまで至りました。
技術的な要因は日進月歩で、つい数年前まで通用していたビジネスがすぐに立ち行かなくなることも起きます。
PEST分析は、現時点での影響を受ける要因ももちろんですが、大切なのは1〜5年後など中長期的に見てどのようなことが起きるか?という視点を持つことです。
法改正などは国会で成立してから施行までも時間がありますし、例えばリニア新幹線開通やW杯・オリンピック・万博等イベントの開催、ドローンや自動運転の技術、人口減少など、ある程度の未来予測ができる環境もあります。
先を見据えて、今後世の中がどうなるだろう?という予測を立ててP・E・S・Tの着眼で調査・分析をしましょう。
PESTのネタになる要因のインプットは、やはり新聞記事が主要です。例えば日経新聞でも、「政治面」「社会面」「経済面」「テクノロジー」などさまざまな分野でカテゴリー分けされてニュースが掲載されています。
それを意識しながら日々新聞を読むことも大切でしょう。
自社でPEST分析が難しい場合は、弊社で「経営戦略立案」のコンサルティングを提供しています。
また、後継者や次世代リーダー人材に経営戦略立案プロセスを学んでいただく研修プログラムもございますのでお気軽にお問い合わせください。
↓
弊社ではPEST分析をはじめ経営戦略立案方法がプロセス(流れ)に沿って学べるオンライン動画研修(ビジかんアカデミア)もご用意しています。個人のスキルアップや社内のリスキリング研修にご活用ください。↓
経営理念・経営ビジョン策定から機能戦略までフルパッケージの『経営全般コンサル(1-A)』、事業計画作成など経営戦略以下に特化する『経営戦略立案コンサル(1-B)』、事業ごとの戦略立案である『新事業開発コンサル(1-C)』『既存事業リブランディングコンサル(1-D)』があります。
ご支援方法は「お任せプラン」と「伴走型プラン」の2種類。伴走型とは、貴社にてプロジェクトチームを作り、戦略立案方法等をレクチャーしながら進めるプランです。
また、継続的な経営の意思決定を支援する「経営顧問(1-Z)」のアドバイザリー契約も可能です。
企業経営の根幹となる「経営理念」「ビジョン」の明文化から現状分析・戦略立案・アクションプランへの落とし込みまでフルパッケージでご支援します。
詳細を見る「経営戦略立案」に特化したコンサルティングです。貴社で策定された経営理念や経営ビジョンを元に、現状分析・戦略立案・アクションプランまで策定し見える化します。
詳細を見る新規事業開発に特化したコンサルティングです。貴社リソースやビジョンを元に、新規商品・サービスの企画からマーケティング戦略立案(事業戦略・ブランディング・プロモーション・実行計画等の支援等)をします。
詳細を見る既存事業の戦略再構築とリブランディングに特化したコンサルティングです。貴社リソースやビジョンを元に、特定の既存事業のマーケティング戦略立案や再構築(企画・事業戦略・ブランド・プロモーション・実行計画等の支援等)をします。
詳細を見る毎月定額で継続的な経営意思決定アドバイスをします。立案した戦略の実行状態を毎月確認し、アクションプランのPDCAにて修正・改善を支援します。
詳細を見る新商品・新サービスの開発や立ち上げなど実際に新規ビジネスを構築するための基礎知識やプロセスを学ぶ伴走型研修プログラムです。
詳細を見るWEBマーケティングの戦略立案および実行を基礎知識から習得していただく伴走型研修プログラムです。
詳細を見る事業承継などの後継者や次世代リーダー候補者向けに経営基礎力強化に向けた基礎知識や戦略プロセスを学ぶ伴走型研修プログラムです。
詳細を見る2〜4日間で学ぶ、主に一眼レフ・ミラーレス一眼レフを使用したビジネス特化の出張型プライベート写真研修です。ディレクションやPhotoshopを使用したレタッチや合成も学べます。
詳細を見る主に一眼レフ・ミラーレス一眼レフを使用したビジネス特化の出張型プライベート動画研修です。絵コンテやAdobe Premiere Proを使用した動画編集も学ぶことができます。
詳細を見る社内で人物撮影・商品撮影・料理撮影などの写真撮影をしたい企業様向けに、ストロボ・ライティング環境のコンサル&設営と、スタッフさんへの撮影研修をご提供します。
詳細を見るSNSやオウンドメディアでの発信に役立つ、写真撮影のためのカメラ知識やスキル・考え方をオンライン動画で学べます。
詳細を見るビジネスのかんさつ日記